住み慣れた本州の自宅を離れ、美瑛町市街地から約7㎞離れた広大な畑作地帯に薪ストーブのある新居を構えたSさん。「冬の寒さを考えると、大手ハウスメーカーではなく、地元の工務店が建てた北海道仕様の家が一番。美瑛での施工が可能な旭川周辺の工務店を探しました。候補は何社もありましたが、自然素材や傾斜屋根など自由設計が可能な藤井工務店を選びました。光熱費のかからない快適な家づくりにこだわり、木をふんだんに使った特徴のある外観も希望どおりでしたね」と、振り返ります。
Sさん宅は、300㎜断熱+トリプルガラスで、断熱性能UA値0.25、気密C値0.4というハイスペックを実現。換気は極寒冷地のカナダで実績のある「ライフブレス」熱交換換気システムを採用し、-25℃を下回る厳しい寒さの冬でも、暖かく快適な暮らしが楽しめます。また、太陽光発電で家で使う電気をすべて賄えるZEHの住まいなので、光熱費の負担もほぼないといいます。
室内は、玄関と居住空間の間に仕切りがなく、ホールから薪ストーブのあるリビング全体が見渡せます。「大きな家ではないので空間を広く使えるよう、ワンルーム的なオープンスペースにしました」とSさん。リビングの隣には道内外から訪ねてくる友人を泊めるために設えた客間があります。リビングとの境に吊り戸があり、ふだんは開けたままで生活しています。
快適な新居で、地元で採れた新鮮な野菜と好きなお酒が味わいながら、十勝岳連峰を望む贅沢なひとときが何よりの幸せというSさん。「テラスからの夕暮れは格別。遠くの山々がピンクに染まっていく様子が何ともいえません」と、笑顔で語ってくれました。
美瑛の丘を背にして建つ片流れ屋根のお住まい。南に傾斜した屋根に7.9kWの太陽光発電パネルが設置されている
山小屋風の現しの柱と梁が印象的。壁はホタテの殻を原料とする左官材による塗り壁、床は無垢ナラ材のフローリング
リビングの一角には薪ストーブ。薪は、丸太をトラック1台分購入してSさん自らチェーンソーを使って玉切りして割ってつくったという
客間の内部の引き戸は通り抜け可能なクローゼットの入り口。ここからユーティリティに移動できるようにするなど、暮らしやすい動線計画となってい
オリジナルの洗面台を設置したユーティリティ。左側に行くとトイレ、さらに進むとキッチンがある。「着替えも洗濯も衣類の収納も、1室で済ませられるのが便利。歳をとったら客間にベッドを置き、1階だけで生活するつもりです」
ステンレス天板のオリジナルキッチン。標準的なI型キッチンより横幅が短めだが奥行きが深く、よく使う調理器具や調味料を手元に置いても邪魔にならない
シンクの向かいに食器棚と食品庫を造作。パッキン付きの扉がついた食品庫は、冬は外気を取り入れて冷やせるため、ワインの保管に最適だという
2階のプライベートスペースからリビングを見下ろす
2階も1階同様、間仕切りをつくらず、フロア全体をワンルームとして使っている
実は大の鉄道ファンであるSさん。ロフトには、製作中の鉄道模型のジオラマが
真冬の雪景色に自然と馴染むSさん宅。入居した昨年11月中旬の美瑛の気温は-5℃。「雪が積もっていましたが、家の中は暖かでした。-25℃以下まで冷え込んだ夜、薪ストーブを消して寝ても朝凍えることもなく、300㎜断熱の効果を実感しました
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