転勤先である東川町の豊かな自然の中で、のびのびと過ごす子どもたちの姿を見て、Kさんご夫妻はこの町に家を建てることを決意しました。さっそく土地探しを始めたご夫妻の心を掴んだのは、目の前に田園風景が広がる築30年の古家付きの土地。すぐに購入を決め、リノベーションを依頼したのが藤井工務店です。「以前オープンハウスに行った際に、自然素材を使った雰囲気がとてもお気に入りでした」とKさん。当時小学生だった息子さんも「こんな木の家に住みたい!」と喜んでいたこともあり、家づくりをする際には藤井工務店に相談しようと決めていたのです。
2019年夏に完成したKさん宅は、梁や柱、基礎、構造材など既存のものを最大限に活用した古材が生きる家。木の香りに誘われて中に入ると、最初に目に留まるのが茶褐色の大黒柱。これは古家のエンジュの床柱を再活用したもので、玄関の上がり框や、1階の建具の一部にも利用しています。
高断熱・高気密の高い性能を確保し、屋根には太陽光発電パネルを設置したKさん宅は、藤井工務店のリノベーション事例では初となるZEH住宅です。太陽光発電でつくりだすエネルギーにより、光熱費はほとんどゼロ。「リノベーションは地球環境にもやさしい家づくり。藤井さんのお話を伺ううちに、環境に対する意識も高まりました」とご夫妻は語ります。
そしてこの家は、転勤族のKさんご一家にとってはじめての故郷でもあります。子どもたちの笑顔とともに、家族の新しい暮らしが紡がれていきます。
奥さんお気に入りの広々としたキッチンは、収納力のある造作棚のおかげでいつもスッキリ。住まいを支える古い梁と新しい梁が空間に味わいを与える。「新しい梁も経年とともに少しずつ色を増していくと藤井さんから聞いて、とても楽しみにしています」と奥さん
吹き抜けを通してペレットストーブの熱が2階に行き渡る。2つの子ども部屋は、吹き抜けに面して窓を設置。熱の循環とともに子どもの気配を階下に伝える役割も
ロフト付きの子ども部屋。造作の机や椅子は、現場の大工が細かに調整してこしらえた。「娘の部屋は夜になると遠くに旭川の街のネオンが見えるんですよ」
通常300㎜壁断熱の場合、窓は中間に設置するが今回は予算面を考慮して小さな窓は外付けを採用。「室内からみると出窓になっているので、小物を置いたり、腰をかけたりと便利に利用しています」
地平線のように広がる田園風景を望む大きな開口のある贅沢なリビング。冬になるとペレットストーブが室内を暖める
玄関の上がり框にも、古家の床の間に使われていたエンジュの木を再利用
「風景に溶け込むようなみどりの家にしたい」と手描きのスケッチを持参したKさんの希望を叶えた、深い緑色のガルバリウム鋼板とカラマツを組み合わせた外観。屋根一面の太陽光発電パネルがつくり出すエネルギーで、暮らしで消費するエネルギーのほとんどをまかなっている
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