スイスからイタリエへ

2012/09/22 - 藤井工務店のシゴト


今日の予定は午後からイタリアミラノへ向けて移動するという事意外分からなかったのですがとても内容の濃い1日となりました。

スイスの伝統的な家づくりの材料は石です、勿論小屋組は木材も使われてますが平らな花崗岩の様な石を積み重ねて壁から屋根まで積み上げるのですが単に積むのではなく相当高い技術が必要だということです。
身近な材料を使って家づくりをすることが環境優しいのですが、昔は当たり前のことで何とか限られた材料で家としての機能とを持たせるために努力したことがうかがえます。

庶民の簡素な家とは対照的に小さな町にもとても立派な教会があります、お祈りをする空間としてだけではなく至るところに絵やレリーフを装飾して誰にでもキリスト教の歴史や教えをレクチャーしているようです。

左官関係の仲間は地元の左官資材会社担当者に質問を投げ続け道端でもレクチャーが繰り返されていました。

ドイツ南部のミュンヘン市からオーストリア、スイス、そしてイタリア北部のミラノはアルプス山脈があり昔は交易が難しかったのかもしれませんがいまでは高速道路でほんの数時間で移動できてしまえる距離です。
バスはミラノ近郊の戦後直ぐに再開発した小さな村に到着し先ずは教会を見せてもらいました。

当時のニュータウンとして教会、学校、住宅など村として機能するためのすべてを計画的に設計し作り上げた村で、学校は更に小さな町のような形に仕上げ子供たちを守りそして想像力を刺激する作りになっています。

既に開発から70年経つのに若い世代もどんどん入居し村は活気に満ちています、それも元々の設計の良さが生きているということのようです、集合住宅の一室を見せていただきました、すこしし狭いようではありますが個人の所有なので快適に直して暮らしています。

一通り村を見て回ったあとはコミュニティーセンターのような建物に移動してのレクチャーでした、まずはじめにこの村を含むチザーテ市の市長さんの話が始まりました、少し様子が変な気はしていたのですがどうもわれわれは村を上げて歓迎されていることがわかりました。

そして我々を1週間近く指導してくれたケイニー教授の最後のレクチャーでは、我々設計者は今後如何にして安全な建物を建てるか、そのためには建築資材の選択から注意深く調べ、建築、建物の運用、解体、リサイクルまでをも考える必要がありそこまでコーディネイトしてはじめてエコな建物となる。そして、わすれてはいけない一番大切なことは住まい手の要望を叶えること、単に望み通りの間取りや材料を使うということではなく住む人、使う人の望む暮らし方や利用の仕方を自分の知るうるすべての知識を総動員して叶えるあげることが我々の使命でそうしてはじめて子供たちにバトンを渡せるのだと教えられました。

最後にこの村の現状の問題点である車と人の動線や防犯、などを改善するための再開発設計者が現状の資源(建物や道路)を有効活用してすこしの工夫で暮らし方が改善するためのアイデアをレクチャーくれました。
とても充実した時間でしたが予定時間を2時間も過ぎていました、流石イタリアです。

地方の生活も豊かに

2012/09/21 - 藤井工務店のシゴト


地方の小さな自治体にも音楽クラブがあり彼らの為の練習場が必要となりコンペにて木造建築物が採用された例です、村の条件はコンクリート造の3階建だったそうですが建築家は木造でも耐久性は劣らず、温熱環境、音環境デザイン性などが優れた提案をし、規定外にも関わら採用されたそうです。発注者も建築家も規定にとらわれずいいもであれば採用しようという柔軟性がこの村の暮らしを豊かにしていくことでしょう。

性能はパッシブ性能を確保し音響に対して悪影響を及ぼす大きなガラス窓は角度を付けておとが拡散するように計画するなど細部までよく考えられたたてものです。

スイスにいどうしました。オーストリアとスイス、ドイツ、イタリアは近隣で高速道路もつながり国境をこえるのは日本でいう県境を通るようなものです。山岳地帯なので木材は豊富で伝統的な木造住宅を見ることもできました。

午後にはまた別の人口3000人ほどの村にできたパッシブ性能を誇る村のコミュニティーセンターです、村の役場機能とは別にカフェを入居させて住民サービスと共に家賃収入も確保し住民の負担軽減を図る手法は先に見た音楽練習場と同じ手法です。

この建物建設の責任者であったという元村長直々に詳しい技術やコスト、使用資材の人体への安全性などのレクチャー受けることができ、特に建材の安全へのこだわりには驚きを覚え、今後の課題となるテーマになりそうです。

ここまで木造建築物を中心にみてきましたがやはりヨーロッパはブロックやコンクリートが今でも主要な建築資材であることにはかわらないので、レンガ造のとコンクリートで造の建物も見ることができました、まずはレンガにてアーチをつくり、漆喰で仕上げられたワイン貯蔵庫。

今日の最後にはコンクリート造教会です、この曲面はトンネル建設の技術をりようしたそうで、室内は大変に快適な空間でした。私は木造住宅しか建てませんがコンクリートは基礎のなどに必ず使う素材なのでその可能性を広げる思考を持てました。

ドイル式木造で建築のつくりかた

2012/09/20 - 藤井工務店のシゴト


ミュンヘンを離れアルプスの山岳地帯にすすみます、あいにくの雨で山並みは見ることが出来ませんでしたが平野部とは違った街並みを見ることができました、まずバスが止まったところは木造住宅専門の中堅ハウスメーカーのプレカット工場です、残念ながら工場内の撮影はできませんでしたが隅々まで見せてもらうことができました。まず驚いたことは木造住宅しかも自然素材と安全性、デザイン性に優れた高品質住宅をほぼ工場内で加工してしまうことです、外装木材や断熱材充填、内装左官の下塗りまで工場内ででやってしまうのす。
品質の安定性と労働者の負担軽減には優れますが、職人の出番はなくなってしまったようです。

この工場のショールームに漢字で気の文字を見つけたり、何か日本的なセンスにふれることが度々ありました。ドイツの木造建築に関わる専門家は日本の木造住宅技術や文化、美意識を少なからず勉強しているうようです、その精神がどこかにひ潜んでいることを私たちは感じ取り、自分達にはではできなかっら割りきと実用性重視のドイツ版軸組工法に驚きをもって接し日本の木造住宅の可能性がまだまだあることに気付かされます。

こちらでは木造住宅であることは環境付加低減と快適性の両立であり性能にも妥協せず、いわゆるパッシブ性能(ほぼ無暖房)が当たり前のようにみえます、障害者の作業施設も木造、パッシブ、ペレットボイラーと理想的な組み合わせです、彼らにしてみれば理想を現実にすることは自然な流れでそれを妨害するものに果敢に挑戦する力があるように感じました。

その貪欲さは住宅だけに留まらずオフィスビルにまで及んでいます、

上の写真2枚は同じ建物の外観と内部です、外からみれば全く木造などとは想像もできない8階建てのビルディングが大断面集成材で出来ています、最大の障害は技術革新というようりも行政の理解だったようですが逆に出来てきたこの現場を見せてスプリンクラー設備を減らす提案をもらったほどだとききました。
我々には無理なことはない、信じて、貫けば不可能に思えたことも克服できるのだという自信をもらいました。
技術よりも哲学を学んでいるようです。

環境を意識した暮らし方

2012/09/19 - 藤井工務店のシゴト


私達はこれからより環境を意識した暮らし方をするべきだということを学びました。
まずはミュンヘン市郊外の自然農法農場にて土の健康を第一に考え多品種少量生産をし、家畜はそのふん尿の堆肥化を目的に飼いバイオメタンガスへの活用は堆肥への栄養素が奪われるために行わないということです。我々の食物の源である土の健康を考えれば当たり前と言います。

農場内には保育所も併設され今回のコーディネーターのケニーさんの子供たちも自然に触れ合う体験を重要視して通っています。

先進的な私立学校では8歳ぐらいの子供たちが親と協力して遊具であるツリーハウスを自作し、学校のホールの室内仕上塗装などもこなすそうです。

親の負担も大きですが進学指導よりもこういった体験を重視することが理解されているのでしょう。

都市部の幼稚園でもその教育方針は自然の多様性を大切にするために工業製品である画一的な製品を子供たちになるべく触れないようにし、ひとつひとつが微妙にすべてちがう木製品や建物によって子供たちに自ら考えることを教育の柱に据えているといいます。

そして住宅は木材を多く使うことで住む人の環境も地球環境も守り断熱性能はほぼ無暖房で済むレベルにまで高め地域の空気を浄化する目的で草屋根(屋上緑化)もミュンヘン市が推奨しているといいます。

冬の日差しを室内に取り込み寒さを防ぐ為に日本には存在しないような高性能断熱ガラスも惜しみなくつかいます。
ただし、ヨーロッパではブロックやコンクリートでの建築主流なのは今も変わらず、先進的な取り組みとして
木造建築物は半分実験的に取り組まれいるように感じました。環境意識が高いことはよくわかりました、でも木造住宅が当然の日本は逆にその蓄積された技術を世界に広めることもこれからの日本の人の使命なのかもしれません。

木造建築物の挑戦

2012/09/18 - 藤井工務店のシゴト


バスに乗って着いたところはミュンヘン工科大学でした、直ぐに講義が始まり、木造建築物での高層ビル建築の可能性も含め如何にしてCO2を建築物として固定化するかの重要性とその為の技術的要素を学びました。
今のところ9階建てのビルまで建築実績があるそうです、理論的には20階建ての設計まで完了しているとのことです。

午後からブロック造の古い集合住宅の外皮を木造で覆う断熱改修再開発プロジェクトの講義です、99%が改修工事で新築は1%の需要でしかないので如何にしてブロックやコンクリートで作られた建物に木材を取り入れ、更に断熱性能を向上させて1次エネルギーの消費を抑え国民の決めた脱原発を推進するかがドイツの進む道でありfukusimaを経験した日本でも同じ道を進み世界の先駆けになろうと励ましてもらいました。

3時過ぎにやっと現場に案内してもらい奥の改修前建築手前の改修後建築物を見ました、理論と工法には共感をもちましたがデザインは改修前の伝統的な形が私は好感をもちました、ヨーロッパデザインは先進的でそれが皆に理解されるのでにはもう少し時間がかかるのかもしれません。